「ソーシャルコマース」を読んでみて
ソーシャルコマース ~業界キーマン12人が語る、ソーシャルメディア時代のショッピングと企業戦略~ [単行本(ソフトカバー)
-
桜丘製作所株式会社 (著), イケダハヤト (著), 三橋ゆか里 (著), 川田智明 (著) ,マイナビ(刊)
- 1890円
ソーシャルコマースとソーシャルメディア
「ソーシャルコマース」という言葉の定義がわからずとも、毎日Facebookにログインしている人ならなんとなくわかる言葉。それが「ソーシャルコマース」だろう。
その言葉と同じく、これも曖昧な意味の言葉として「ソーシャルメディア」もある。
本書では、その言葉の定義よりも事例をたくさん出すことに終始している。
豊富な事例は、ソーシャルメディア、ソーシャルコマースがまだ、一般的でない日本よりも常に1歩先をいく米国が主になっている。
ソーシャルコマースの事例といっても、ソーシャル=FacebookをイメージするくらいだからFacebookでの事例がたくさん載っている。ただし、Facebook内で買い物ができる仕組みを提供したからと言って、すぐに売上に貢献するかどうかは怪しい。実際「売上があがるわけではない」とさえ言い切っているくらいだが、確実に消費者の満足度は上がるに違いない。
この本とトゴル商店
実は、私はトゴル商店というオンラインストアを始めたばかりで、いろいろと勉強になった。オンラインストアを作る側しか経験してなかったので、運用側になってみて初めてわかったことがたくさんあり、この本を読むことでやはり!と気づくことが多かったのだ。(気づけても実践できないと現実はリソースの限界を感じる悲しいところだ)
後半ではソーシャルコマースの旗手といえる人たちへインタビューして、具体的な数値から概念的な話までを聞くことができる。
このインタビューでは、具体的な数値を話してもらっているので、勉強になる人も多いだろう。たとえば、Facebook担当は何人いるのか?とかだ。
この本は、「ソーシャルコマース」を実現するための技術を紹介するテクニカル本ではない。ソーシャルという時代のキーワードに関連する事象を並べて、考えを整理するきっかけを与えるための本だ。そのため、ある程度の整理はしてあるものの、正しく自分の役にたたせるためには、各自の読解・分析・想像と、それらを裏付けるための経験が必要だ。
本当に読むべきはショップオーナーだ
だからこそ本書を本当に薦めたいのは、オンラインのショップオーナーさんだ。自分のショップのあり方に悩んでいるなら、この本を手にとるべきだろう。どうやればいいのかを学ぶ機会を提供してくれる。
(ただ、ショップオーナーは時間がなくて、本など読んでいられないというジレンマもあるが)
この本を読んで感じたのは、ショップオーナーは、扱う商品と同じくらい人間やその人とのコミュニケーションも好きじゃなければうまくやっていけないということ。それが、実店舗だろうとオンラインショップだろうと、ソーシャル上のショップだろうと同じだと言える。
そして、ソーシャルメディアは、人間が大好きなショップオーナーにとっては、無料で使えるこの上なく便利なツールであるといえる。ソーシャルコマースに興味があるなら、本書を片手にソーシャルを始めてみてもいいと思う。とりあえず、実践あるのみなのだ。
- Newer: 「現在のFireworks権限では、レジストリ情報を更新することができません」
- Older: 「トーンカーブのことがわかる」本
- Feeds
- About